Stable Diffusionで画像を生成する際、negative prompts は、生成される画像に「含んでほしくない要素」をAIに伝えるための非常に重要な入力です。これにより、意図しない要素の混入を防ぎ、より高品質でコントロールされた画像を生成することができます。
以下に、具体的なポイントと実例を挙げて解説します。
Stable DiffusionにおけるNegative Promptsの重要性
Stable Diffusionのような画像生成AIは、入力されたプロンプトに基づいて画像を生成しますが、AIが常に意図を正確に理解するとは限りません。特に、プロンプトが抽象的であったり、複数の意味を持つ単語が含まれている場合、AIは予期せぬ要素を画像に含めてしまうことがあります。
negative prompts を適切に設定することで、以下のような効果が期待できます。
- 品質の向上: ぼやけ、低品質、奇形などの望ましくない要素を排除し、シャープで美しい画像を生成します。
- 制御性の向上: 特定のスタイル、オブジェクト、色などを排除し、より具体的なイメージに近づけます。
- 時間の節約: 試行錯誤の回数を減らし、目的の画像を素早く生成できるようになります。
Negative Promptsの具体的なポイント
- 一般的な品質低下要因の排除:
- AIが生成しがちな低品質な要素を最初に排除するのが定石です。
- 例:
low quality,bad anatomy,ugly,deformed,blurred,text,watermark,signature
- 特定の要素の排除:
- 生成したい画像に含まれては困る、具体的なオブジェクトや要素を指定します。
- 例: 人物画像生成時に
extra fingers(指の奇形を防ぐ),ugly face(顔の品質向上),nsfw(不適切な内容を防ぐ),cropped(切り抜きすぎを防ぐ)
- スタイルの排除:
- 特定の画風や描写を望まない場合に指定します。
- 例: 写実的な画像を生成したいときに
cartoon,anime,drawing,painting
- 色の排除:
- 特定の色の使用を避けたい場合に指定します。
- 例:
red color,monochrome(白黒を避けたい場合)
- 複雑なシーンにおける不要な要素の排除:
- 複数の要素が組み合わさる複雑なプロンプトの場合、AIが誤解釈する可能性が高まります。この時、誤解釈されやすい要素をnegative promptで指定します。
- 例: 昼間の風景を生成したいのに、意図せず夜景になった場合に
night,darkを追加。
- 試行錯誤と調整:
- negative promptsは一度設定すれば終わりではなく、生成される画像を見ながら調整していくことが重要です。
- 生成された画像に不満な点があれば、その原因となりうる要素をnegative promptに追加してみましょう。
Negative Promptsの実例
以下に、具体的なプロンプトとnegative promptsの組み合わせの例を挙げます。
例1：美しい女性のポートレート
- Positive Prompt:
a beautiful woman, highly detailed, realistic, sharp focus, natural light, soft skin, long flowing hair, looking at viewer - Negative Prompt:
low quality, bad anatomy, ugly, deformed, blurry, extra limbs, fewer limbs, missing limbs, malformed limbs, extra fingers, fewer fingers, missing fingers, extra eyes, fewer eyes, text, watermark, signature, cropped, out of frame, disfigured, poorly drawn, bad proportions- ポイント: このnegative promptは、人物画で頻繁に発生する奇形（指、手足、顔など）や、一般的な低品質要素を網羅しています。
例2：壮大な風景画
- Positive Prompt:
a majestic mountain range, covered in snow, clear blue sky, vast landscape, cinematic lighting, photorealistic, vibrant colors - Negative Prompt:
low quality, bad composition, ugly, blurry, fog, mist, dark, text, watermark, signature, building, car, human, animal, cartoon, anime, drawing, painting- ポイント: 風景に不要な人工物や生物、特定の画風を排除しています。霧や霞といった要素も、クリアな風景を望む場合は排除対象になります。
例3：SF都市のイラスト
- Positive Prompt:
futuristic city, neon lights, flying cars, towering skyscrapers, cyberpunk atmosphere, highly detailed, concept art - Negative Prompt:
low quality, bad anatomy, ugly, deformed, blurry, natural, forest, tree, grass, river, human, animal, text, watermark, signature, photo, realistic- ポイント: SF感を損なう自然な要素や、イラストレーションとしてリアルすぎる描写を排除しています。
例4：食べ物のクローズアップ
- Positive Prompt:
delicious looking pizza, melted cheese, pepperoni, fresh ingredients, close up, warm lighting, appetizing, food photography - Negative Prompt:
low quality, bad anatomy, ugly, deformed, blurry, uncooked, burnt, disgusting, human, hand, text, watermark, signature, drawing, painting, cartoon- ポイント: 食べ物の生成では「美味しそうに見えるか」が重要なので、焦げ付きや生焼けといったネガティブな要素を排除し、写真のような質感を強調しています。
Negative Promptsの活用ヒント
- 定番のnegative promptsリストを持つ: 汎用的に使えるnegative promptsのリストを自分の中に持っておくと便利です。上記の実例は参考にしてください。
- ツールごとの特性を理解する: 使用しているStable DiffusionのWeb UI（AUTOMATIC1111など）やモデルによっては、特定のnegative promptsがより効果的であったり、全く効果がなかったりする場合があります。
- シンプルに始める: 最初から完璧なnegative promptsを目指すのではなく、まずは一般的な低品質要素から始め、必要に応じて追加していくのが良いでしょう。
- 組み合わせを試す: Positive promptと同様に、negative promptも単語の組み合わせや順序で結果が変わることがあります。
Stable Diffusionにおけるnegative promptsは、AIをより効果的にコントロールし、望む画像を効率的に生成するための強力なツールです。ぜひ上記の内容を参考に、試行錯誤しながら最適なnegative promptsを見つけてください。
