IPv4 over IPv6 について、基礎からやさしく解説しますね。インターネットの仕組みと合わせて理解すると、より分かりやすいですよ。
1. インターネットの住所「IPアドレス」
まず、インターネットに接続されているすべての機器(あなたのPC、スマートフォン、ウェブサイトのサーバーなど)には、それぞれ固有の住所が割り振られています。これが「IPアドレス」です。
郵便物の住所と同じように、IPアドレスがあることで、データが正しい相手に届くようになっています。
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2. IPアドレスの二つの世代:IPv4とIPv6
このIPアドレスには、現在主に使われている2つの世代があります。
- IPv4 (Internet Protocol Version 4):
- 現在主流のIPアドレスです。
192.168.1.1
のように、0~255の数字が4つのブロックで表されます。(例:xxx.xxx.xxx.xxx
)- 割り振れるIPアドレスの数は、約43億個。
- 問題点: インターネットの普及により、この43億個のアドレスが枯渇寸前になっています。新しい機器やサービスにIPアドレスを割り当てることが難しくなってきています。
- IPv6 (Internet Protocol Version 6):
- IPv4のIPアドレス枯渇問題を解決するために開発された、新しい世代のIPアドレスです。
2001:0db8:85a3:0000:0000:8a2e:0370:7334
のように、16進数の英数字が8つのブロックで表されます。(例:xxxx:xxxx:xxxx:xxxx:xxxx:xxxx:xxxx:xxxx
)- 割り振れるIPアドレスの数は、ほぼ無限大(約340澗個、兆の1兆倍の1兆倍、といった途方もない数です)。地球上の砂粒よりも多いと言われます。
- メリット: IPアドレス枯渇の心配がないだけでなく、セキュリティ機能の強化や、通信効率の向上が期待されます。
- 課題: IPv4とIPv6は互換性がありません。例えるなら、IPv4は日本語しか話せない人、IPv6は英語しか話せない人のようなものです。お互い直接はコミュニケーションできません。
3. インターネット接続方式の二つのタイプ:PPPoEとIPoE
IPアドレスの世代とは別に、インターネットへの接続方式にも主に2つのタイプがあります。

- PPPoE (Point-to-Point Protocol over Ethernet):
- 現在の多くの家庭用光回線で使われている、従来の接続方式です。
- インターネットに接続する際に、**「網終端装置」**という設備を経由します。
- 例えるなら、**「一本道でみんなが同じゲートを通る」**ようなイメージです。
- 問題点: 利用者が増え、特に夜間や休日などアクセスが集中する時間帯には、この網終端装置が混雑し、**「渋滞」**が発生して通信速度が遅くなることがあります。
- IPoE (IP over Ethernet):
- 比較的新しい接続方式で、IPv6サービスで主に利用されています。
- PPPoEとは異なり、網終端装置を介さずに、直接インターネット網に接続します。
- 例えるなら、**「車線が多く、複数のゲートからスムーズに高速道路に入る」**ようなイメージです。
- メリット: 渋滞が起きにくい大容量の設備を使用するため、通信が混雑しにくく、安定した高速通信が期待できます。
4. 「IPv4 over IPv6」とは? なぜ必要なの?
さて、ここで本題の「IPv4 over IPv6」が登場します。
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先ほど、「IPv4とIPv6は互換性がない」という話をしました。もしあなたがIPv6でインターネットに接続していても、まだ世の中のウェブサイトの多くはIPv4にしか対応していません。
例えば、
- IPv6対応のウェブサイト: YouTube、Gmail、GoogleなどはIPv6に対応しているため、あなたはIPv6で直接アクセスできます。
- IPv4のみ対応のウェブサイト: Yahoo! JAPANなど、まだIPv4にしか対応していないサイトもたくさんあります。
もしあなたがIPv6接続しかできない状態だと、IPv4サイトにはアクセスできません。これは非常に不便ですよね。
そこで生まれたのが「IPv4 over IPv6」という技術です。
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これは、**「IPv6の大きな道路(IPoE接続)を使って、IPv4の荷物(データ)も運んでしまおう!」**という技術です。
- 仕組みのイメージ(「トンネル」技術):
- あなたのPCがIPv4のウェブサイト(例: Yahoo! JAPAN)にアクセスしようとします。
- PCから送られるIPv4のデータは、あなたのルーターによって、IPv6のデータの中に「カプセル化(包み込み)」されます。
- カプセル化されたIPv6のデータは、IPv6の大容量ネットワーク(IPoE方式)を通って、混雑していない快適なルートでインターネットの奥まで進みます。
- 最終的に、ウェブサイトのサーバーに到達する手前で、IPv6のデータから元のIPv4のデータが取り出され(「非カプセル化」)、ウェブサイト側はIPv4として認識します。
この仕組みにより、あなたはIPv6の高速で安定したIPoE接続の恩恵を受けながら、IPv4しか対応していないウェブサイトにも問題なくアクセスできるようになります。

5. 「v6プラス」と「IPv4 over IPv6」の関係
「v6プラス」は、日本ネットワークイネイブラー(JPNE)という会社が提供している、IPv4 over IPv6サービスの商品名です。
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GMOとくとくBBなどのプロバイダが、このJPNEの「v6プラス」を採用して、お客様に提供しています。
つまり、「v6プラス」を契約することで、あなたはIPv6によるIPoE接続と、その上でIPv4 over IPv6によるIPv4サイトへのアクセスが同時にできるようになります。

まとめ
- IPv4: 今までのIPアドレス。枯渇寸前。PPPoE方式で混雑しがち。
- IPv6: 新しいIPアドレス。数が無限大。IPoE方式でスムーズ。
- IPv4 over IPv6: IPv6の快適なIPoEネットワークを使って、IPv4のウェブサイトにもアクセスできるようにする技術。
- v6プラス: IPv4 over IPv6サービスの一種で、日本で広く使われているブランド名。
この解説で、IPv4 over IPv6の仕組みが少しでもお分かりいただけたなら幸いです。
