「サラダ油やキャノーラ油は、高温で精製されるから体に良くない」
最近、こんな話を聞いたことはありませんか?健康志向が高まる中で、食の安全に関する情報は特に気になりますよね。でも、この情報、本当にそうなのでしょうか?
今回は、私たちが日常的に使うサラダ油やキャノーラ油の「精製」について、誤解されがちな点をスッキリと解説します。
「高温精製=危険」はちょっと待って!
結論からお伝えすると、「高温で精製されること自体が、直ちに体に悪いというわけではありません」。
私たちがスーパーでよく見かけるサラダ油やキャノーラ油は、基本的に精製油と呼ばれます。これは、菜種や大豆といった植物から油を抽出し、不純物を取り除いて、透明で匂いの少ない、使いやすい状態にするための工程を経たもの。この過程で「高温」が使われることは確かにあります。
では、なぜ「高温精製だから体に良くない」と言われてしまうのでしょうか?主な理由として、こんな点が挙げられます。
1. トランス脂肪酸の生成(実はごくわずか)
「高温で精製されるとトランス脂肪酸が大量にできる」という話を聞いたことがあるかもしれません。しかし、これは少し誤解があります。
植物油の精製過程で生成されるトランス脂肪酸は、実はごく微量です。健康に影響を与えるほどの量ではありませんので、過度に心配する必要はありません。トランス脂肪酸が問題視されるのは、マーガリンやショートニングのように、油を固めるための特殊な加工(部分水素添加)が行われた場合に多く発生するものです。
2. 酸化の促進(適切な管理が重要)
確かに、油は高温にさらされると酸化しやすくなります。酸化した油は、体内で細胞に悪影響を与える可能性も指摘されています。
しかし、市販されているサラダ油やキャノーラ油のほとんどは、酸化を防ぐための工夫(例えば、酸化しにくい品種を選んだり、抗酸化成分を加えたり)がされています。また、精製後も適切に保管されていれば、すぐに酸化が進んで健康を害するレベルになることは考えにくいです。
3. 栄養素の損失(役割を考えよう)
精製過程で、原料の油に含まれるビタミンEなどの一部の栄養素や、独特の風味・色合いが失われることはあります。
でも、考えてみてください。サラダ油やキャノーラ油は、そもそも栄養素を積極的に摂るための油ではありません。主に、揚げ物や炒め物といった料理の加熱調理に使われることが目的ですよね。
大切なのは「バランス」と「使い方」
結局のところ、「高温で精製されるから体に良くない」という情報は、少し極端な表現です。どの油を使うにしても、重要なのは「どんな油を、どのように使うか」というバランス感覚なんです。
過度に心配せず、適量を使いましょう
日本の食品衛生法やJAS規格などに基づき、市販のサラダ油やキャノーラ油は安全性が確認されています。日常的に適量を料理に使う分には、健康を害する心配はほとんどありませんので、安心してください。
「未精製油」との違いを知ろう
健康志向の方の中には、未精製油(エキストラバージンオリーブオイルや、昔ながらの製法で作られたごま油など)を選んで使っている方もいるでしょう。未精製油は、精製工程をほとんど経ていないため、原料の風味や栄養素が残りやすいのが特徴です。
しかし、未精製油は煙点(油が煙を出し始める温度)が低いものも多く、加熱調理には向かない場合もあります。すべての料理に未精製油を使えば良い、というわけではないのです。
油は「使い分け」が賢い!
- 加熱調理には:サラダ油、キャノーラ油はもちろん、米油やひまわり油など、比較的酸化しにくく、煙点が高い精製油が向いています。
- 生食や香り付けには:エキストラバージンオリーブオイル、ごま油、亜麻仁油(加熱せずに使う油です!)など、風味豊かな未精製油がおすすめです。
そして、どんな油であっても、開封したら早めに使い切り、直射日光や高温を避けて適切に保管することが大切です。これが酸化を防ぎ、油をより安全に使うための秘訣ですよ。
まとめ
「サラダ油やキャノーラ油は危ない」という話は、過度に心配する必要はありません。私たちの食卓を支える便利な油であり、安全に使えるように様々な工夫がされています。
大切なのは、特定の油を「悪者」にするのではなく、バランスの取れた食生活の中で、それぞれの油の特性を理解し、上手に使い分けること。それが、健康的で豊かな食生活を送るための第一歩です。
あなたの油選びの参考になれば嬉しいです!
不安な場合は、信頼できる情報源(消費者庁や厚生労働省、専門家のウェブサイトなど)で情報を確認することをお勧めします。