Windowsのシャットダウンオプション:通常、完全、再起動の違い

がいの部屋

Windowsには、PCの電源を切るためのいくつかのオプションがありますが、それぞれ動作が異なります。主なものとして「通常のシャットダウン(高速スタートアップ有効時)」「完全シャットダウン」「再起動」があり、それぞれの特徴と適切な使い分けを理解することが重要です。

1. 通常のシャットダウン(高速スタートアップ有効時)

Windows 8以降のバージョンでは、「高速スタートアップ」という機能がデフォルトで有効になっています。この設定が有効な場合、通常のシャットダウンは以下のように動作します。

  • 動作の概要:
    • ユーザーセッション(開いているアプリケーションやドキュメントなど)は完全に終了します。
    • しかし、OSのカーネルセッション(システムの中核部分)は完全に終了せず、休止状態(ハイバネーション)に似た形でディスクに保存されます。
  • 目的:
    • 次回のPC起動時間を短縮すること。保存されたカーネルセッションを読み込むことで、システムがより速く起動します。
  • 影響と注意点:
    • メリット: 起動が速い。
    • デメリット:
      • システムが完全にリフレッシュされないため、ドライバーの更新や一部のシステム設定の変更が正しく適用されない場合があります。
      • まれに、周辺機器の認識に問題が生じることがあります。
      • デュアルブート環境で他のOS(例: Linux)からWindowsのパーティションにアクセスする際に問題が生じることがあります(Windowsがファイルシステムをロックしているため)。

2. 完全シャットダウン

完全シャットダウンは、文字通りシステムを完全に終了させる方法です。

  • 動作の概要:
    • すべてのプロセス、ユーザーセッション、カーネルセッションを完全に終了させます。
    • メモリの内容はクリアされ、ハードウェアもリセットに近い状態になります。
  • 目的:
    • システムを完全にリフレッシュする。
    • ソフトウェアやドライバーのインストール・アンインストール後、システム設定の変更後など、システムをクリーンな状態から起動させたい場合。
    • PCの動作が不安定な場合や、周辺機器の認識に問題がある場合のトラブルシューティング。
    • ハードウェアの交換や増設を行う前。
  • 実行方法:
    • Shiftキーを押しながらシャットダウン: スタートメニューから「シャットダウン」を選択する際に、Shiftキーを押し続けます。
    • コマンドプロンプトまたはPowerShellから:shutdown /s /f /t 0
      /s はシャットダウン、/f は実行中のアプリケーションを強制終了、/t 0 は遅延時間なしを意味します)
  • 影響と注意点:
    • メリット: システムが完全にリフレッシュされるため、多くの問題が解決する可能性があります。ドライバーやシステム更新が確実に適用されます。
    • デメリット: 次回の起動は、高速スタートアップ有効時の通常のシャットダウンに比べて少し時間がかかります。

3. 再起動

再起動は、システムを一度完全にシャットダウンし、その後すぐに自動的に起動させる操作です。

  • 動作の概要:
    • 動作としては、完全シャットダウンを行った後に自動で電源が入るのと同じです。
    • 高速スタートアップ機能は再起動時には適用されません。システムは完全に終了し、クリーンな状態で起動します。
  • 目的:
    • システムアップデートの適用(多くのアップデートは再起動を要求します)。
    • ソフトウェアのインストール・アンインストール後のシステムの安定化。
    • PCの動作が不安定な場合のトラブルシューティング。
    • ドライバーの問題を解決する。
  • 影響と注意点:
    • メリット: 完全シャットダウンと同様にシステムが完全にリフレッシュされます。手動で電源を入れ直す手間がありません。
    • デメリット: 特にありませんが、シャットダウンしてしばらく電源をオフにしておきたい場合には不向きです。

使い分けのまとめ

状況・目的推奨される操作理由
日常的なPCの使用終了時通常のシャットダウン次回の起動が速いため。
PCの動作が少しおかしい、周辺機器の調子が悪い再起動 または 完全シャットダウンシステムをリフレッシュして問題を解決するため。まず再起動を試し、解決しなければ完全シャットダウン。
ソフトウェアやドライバーをインストール/アンインストールした再起動変更をシステムに正しく適用するため。
Windows Update後指示に従い再起動(または自動で再起動される)更新を完了させるため。
長期間PCを使用しない、またはハードウェアを変更する前完全シャットダウンシステムを完全にオフにし、安全な状態にするため。
デュアルブート環境で他のOSを使用する前完全シャットダウンWindowsファイルシステムへのアクセス問題を避けるため。

高速スタートアップを無効にする方法:

もし常に完全シャットダウンと同様の状態にしたい場合は、高速スタートアップ機能を無効にすることも可能です。

  1. コントロールパネルを開きます。
  2. 「電源オプション」を選択します。
  3. 左側のメニューから「電源ボタンの動作を選択する」または「カバーを閉じたときの動作の選択」をクリックします。
  4. 「現在利用可能ではない設定を変更します」をクリックします(管理者権限が必要です)。
  5. 「シャットダウン設定」の項目にある「高速スタートアップを有効にする(推奨)」のチェックを外します。
  6. 「変更の保存」をクリックします。

これにより、通常のシャットダウン操作でも、常に完全シャットダウンに近い形でシステムが終了するようになります。ただし、起動時間は若干長くなる可能性があります。

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