一期一会の精神 - がいの部屋

「一期一会（いちごいちえ）」の精神とは、「その時、その場での出会いは二度と巡ってこない、たった一度きりのものであるから、あらゆる瞬間に心を尽くし、大切にすべき」という考え方を指します。

この言葉はもともと、安土桃山時代の茶人である山上宗二（やまのうえのそうじ）の著書『山上宗二記』に「一期に一度の会」と記され、後に江戸時代の茶人・井伊直弼（いいなおすけ）が著した『茶湯一会集』によって広く知られるようになりました。

茶道では、茶会は毎回異なる参加者、季節、時間の中で行われるため、全く同じ状況は二度とありません。そのため、亭主（もてなす側）も客（もてなされる側）も、その一度きりの茶会に全力を尽くし、心を込めて接することが重要であると説かれました。

「一期」は仏教用語で「一生」や「生涯」を意味し、「一会」は「一度の出会い」を指します。つまり、「一生に一度の出会い」という意味合いが込められています。

現代においては、茶道に限らず、あらゆる人との出会いや、日々の出来事、そして今この瞬間を大切にするという精神として解釈されています。

具体的には、以下のような意味合いを含んでいます。

人との出会いを大切にする: 家族や友人、同僚といった身近な人々との関係はもちろんのこと、初めて会う人やたまたま通りすがった人との出会いも、もしかしたら二度とないかもしれない機会として、誠意をもって接すること。
今この瞬間を大切にする: 日常の何気ない出来事や、仕事、趣味など、あらゆる場面において、「この瞬間は二度と来ない」という意識を持って、真剣に向き合い、精一杯取り組むこと。
感謝の気持ちを持つ: 全ての出会いや出来事がかけがえのないものであり、そこから得られる学びや喜び、そして困難もまた、自分を成長させる貴重な機会であると感謝すること。