MagSafeとQiは、ワイヤレス充電に関連する技術ですが、それぞれの特徴や使い方には違いがあります。以下で詳しく説明します。
MagSafeについて
MagSafeは、Appleが開発したワイヤレス充電およびアクセサリ接続のための技術です。
もともとはMacBook用の磁石式充電ポートとして登場しましたが、現在のMagSafeは主にiPhone(iPhone 12以降)に搭載されています。
特徴
磁石の活用
iPhoneの背面に内蔵された磁石を利用して、充電器やアクセサリを正確に固定します。これにより、充電器がズレにくくなり、効率的な充電が可能です。
最大15Wの高速充電
MagSafe対応充電器を使用すると、Qi規格よりも速い充電速度(最大15W)が得られます(ただし、充電速度は使用するアダプターやアクセサリによります)。
アクセサリのエコシステム
MagSafe対応ケース、ウォレット、車載ホルダーなど、磁石を利用した多様なアクセサリが利用可能です。
メリット
充電器が簡単に正確な位置に装着される。
アクセサリの取り付けがスムーズ。
高速なワイヤレス充電。
デメリット
MagSafe対応アクセサリが高価な場合がある。
Qi対応充電器より選択肢が少ない。
Qiについて
Qi(チー)は、Wireless Power Consortium(WPC)が策定した国際的なワイヤレス充電規格です。
スマートフォン、スマートウォッチ、イヤホンなど、さまざまなデバイスで広く採用されています。
特徴
互換性が広い
Apple、Samsung、Sonyなど、多くのメーカーのデバイスがQi対応です。
最大充電速度
通常、最大10W程度の充電速度が一般的ですが、高速充電に対応したデバイスや充電器も増えています。
非磁石ベース
Qiは磁石を使用せず、充電パッドの上にデバイスを置くだけで充電が行えます。
Qiの充電システムの仕組み
電磁誘導方式
Qiの基本的な充電方式は、電磁誘導を利用しています。
原理
送電コイル(充電器側)と受電コイル(デバイス側)が近接すると、送電コイルに流れる電流が磁場を生成します。の磁場が受電コイルを通過することで電流が誘導され、デバイスのバッテリーを充電します。
動作条件
送電コイルと受電コイルが正確に配置されている必要があります。距離は通常5mm以内である必要があり、効率が落ちるため、金属製の障害物が間に入らないようにする必要があります。
Qiの構造
送電側(ワイヤレス充電器)
送電コイル:電力を磁場として伝えるためのコイル。
制御回路:電力を適切に変換・管理し、受電デバイスに供給します。
受電側(デバイス)
受電コイル:磁場を再び電流に変換するためのコイル。
整流回路:誘導された電流を安定させ、デバイスのバッテリーに供給します。
通信プロトコル
Qiでは、送電側と受電側が通信を行い、充電プロセスを最適化します。通信には近距離無線通信(NFC)が利用されます。
Qiの充電プロセス
デバイスの検出
ワイヤレス充電器は、近くにQi対応デバイスが置かれると、それを検出します。
通信開始
デバイスと充電器が通信を行い、適切な電力供給レベルを設定します。
電力供給
電磁誘導によってデバイスに電力が供給され、バッテリーが充電されます。
充電のモニタリング
充電器は、バッテリーの状態をモニタリングし、充電が完了すると電力供給を停止します。
Qi規格
ベーシックパワープロファイル(BPP)
最大出力:5W
基本的なデバイスで広く採用されています。
エンハンストパワープロファイル(EPP)
最大出力:15W
高速充電をサポートするデバイス向け。
安全性
異物検知(FOD)
金属製品などの異物が充電器に置かれると、自動的に電力供給を停止します。
温度管理
過熱を防ぐために、温度をモニタリングします。
過充電防止
バッテリーが満充電になると電力供給を自動で停止します。
メリット
デバイス間で互換性が高い。
充電器がリーズナブルで種類が豊富。
簡単に使える。
デメリット
正しい位置に置かないと充電効率が下がる。
一部のデバイスでは充電速度が遅い。
MagSafeとQiの違いのまとめ
特徴 | MagSafe | Qi |
---|
充電速度 | 最大15W | 最大10W(デバイスにより異なる) |
磁石の有無 | あり(磁石で固定) | なし |
互換性 | Apple製品中心(iPhone 12以降) | 幅広いデバイスが対応 |
アクセサリ展開 | 多様なMagSafe専用アクセサリ | 標準的なワイヤレス充電器 |
iPhone 12以降のモデルは、MagSafeにも対応しています。MagSafe充電器を使用すると、Qiよりも効率的に最大15Wで高速充電が可能です。
ただし、MagSafeはiPhone XRでは利用できないため、通常のQi充電を使用することになります。
選び方のポイント
iPhone 12以降を使用している場合、MagSafeを使うと便利です。特に充電速度やアクセサリの固定を重視する方におすすめ。
互換性やコストパフォーマンスを重視する場合、Qi対応充電器を選ぶとよいでしょう。
どちらも利便性が高い技術ですが、目的や利用デバイスに合わせて選ぶのがベストです!
iPhoneのQi対応について
Qi規格の採用
Appleは、iPhone 8以降のすべてのモデルでQi規格のワイヤレス充電をサポートしています。
iPhone XRはもちろん、iPhone 11、iPhone 12、iPhone 13、iPhone 14シリーズなども含まれます。
充電速度
Qi充電を使用した場合の充電速度は、最大7.5Wです。ただし、充電速度は充電器の性能やアダプターの出力によって異なります。
(MagSafe対応モデルの場合、専用MagSafe充電器を使うと最大15Wでの高速充電が可能です。)
Qiでの充電方法
Qi対応の充電器(スタンド型やパッド型)を用意します。
充電器を電源アダプタやUSBポートに接続します。
iPhone XRを充電器の中央に置きます。
充電が開始されると、画面に充電アイコンが表示されます。
Qi充電のメリット
ケーブル不要:iPhoneを置くだけで充電が開始される。
互換性が広い:多くのメーカーのQi対応充電器が使用可能。
さまざまな設置タイプ:パッド型、スタンド型、車載型など、用途に合わせた充電器を選べる。
Qi充電の注意点
正しい位置に置く
Qi充電器のコイルとiPhoneの充電コイルの位置が合わないと充電が開始されない場合があります。
ケースの影響
厚みのあるケースや金属製のケースは充電効率を下げることがあります。ワイヤレス充電対応ケースを使用するのがおすすめです。
充電速度の違い
ケーブル充電(最大20W以上)に比べると、Qi充電(最大7.5W)はやや遅いです。急いでいるときは有線充電が適しています。
Apple Watchの充電
Apple Watchの充電方法は、Apple独自のワイヤレス充電技術を使用しています。
マグネット式充電ケーブル
Apple Watchには専用のマグネット式充電ケーブルが付属しています。この充電ケーブルの先端には、磁石が組み込まれた円形の充電器があり、Apple Watchの裏面にある充電エリアにピタッと吸着します。
ワイヤレス充電技術(Qiベース)
Apple Watchの充電技術は、Qi規格に似ていますが、完全には互換性がありません。
一部のApple Watchモデル(Series 7以降)は、特定のQi充電器で充電できる場合もありますが、基本的にはApple純正または認定アクセサリでの充電が推奨されています。
高速充電(Apple Watch Series 7以降)
Series 7以降のモデルは、専用のUSB-C高速充電ケーブルを使用することで、従来モデルよりも速く充電できます。例えば、8分の充電で約8時間の睡眠トラッキングが可能です。
充電手順
付属のマグネット式充電ケーブルを電源アダプタまたはUSBポートに接続します。
充電器をApple Watchの裏面に近づけると、磁石で自動的に正しい位置に吸着します。
Apple Watchの画面に充電中を示す緑色の稲妻マークが表示されます。
充電器の種類
純正のマグネット式充電ケーブル
安全性と充電効率が高く、Apple公式が推奨。
サードパーティ製の充電器
MFi(Made for iPhone/Apple Watch)認証を受けた製品は安心して使用可能。
MagSafe Duo Charger
Apple製の折りたたみ式充電器で、Apple WatchとiPhoneを同時に充電可能。
注意点
Apple Watch専用の充電器が必要
他のワイヤレス充電器(例えば、iPhone用のMagSafeやQi充電器)では充電できない場合が多いです。
発熱に注意
長時間の充電中や充電器の表面が熱くなることがありますが、通常は問題ありません。ただし、高温になる場合は充電を中止し、適切な場所で再度試してください。
高速充電ケーブルの互換性
Apple Watch Series 7以降の高速充電を利用する場合、USB-Cポート対応の充電器(20W以上推奨)が必要です。