財務指標の基礎知識

がいの部屋

株取引において重要な財務指標を以下に解説します。これらの指標は、企業の収益性、安全性、効率性を多角的に評価するために使われます。


収益性を示す指標

収益性指標は、企業がどれだけ効率的に利益を上げているかを示します。

EPS(1株当たり純利益) 📈

EPSは「Earnings Per Share」の略で、1株が1年間でどれだけの純利益を生み出したかを示す指標です。

  • 計算式: 当期純利益 ÷ 発行済株式数
  • ポイント:
    • EPSが高いほど、企業の収益力が高いと判断されます。
    • 一般的に、前期よりもEPSが増加している企業は、成長しているとみなされます。
    • 株価をEPSで割ることで、株価収益率(PER)が計算でき、株価の割安・割高を判断する材料になります。

ROE(自己資本利益率)

ROEは「Return On Equity」の略で、株主が投下した自己資本(返済不要な資本)をどれだけ効率的に使って利益を上げたかを示す指標です。

  • 計算式: 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100
  • ポイント:
    • ROEが高いほど、株主の資本を有効活用して利益を上げていることを意味します。
    • 一般的に10%以上が優良企業の目安とされています。
    • ROEは自己資本に対するリターンを示すため、投資家が特に重視する指標です。

ROA(総資産利益率)

ROAは「Return On Assets」の略で、総資産(自己資本と負債の合計)をどれだけ効率的に使って利益を上げたかを示す指標です。

  • 計算式: 当期純利益 ÷ 総資産 × 100
  • ポイント:
    • ROAが高いほど、企業全体の資産を効率的に活用していることを示します。
    • 一般的に5%以上が優良企業の目安とされています。
    • ROAは、ROEが借入金(負債)によってかさ上げされていないかをチェックする際に有効です。ROEが高くてもROAが低い場合、負債への依存度が高い可能性があります。

粗利率

粗利率は、売上高に占める売上総利益の割合です。商品やサービスそのものの収益力を示します。

  • 計算式: (売上高 – 売上原価) ÷ 売上高 × 100
  • ポイント:
    • 粗利率が高いほど、本業で高い付加価値を生み出していることになります。
    • 業種によって大きく異なるため、同業他社と比較することが重要です。

純利益率

純利益率は、売上高に占める当期純利益の割合です。すべての費用を差し引いた、最終的な企業の利益率です。

  • 計算式: 当期純利益 ÷ 売上高 × 100
  • ポイント:
    • 純利益率が高いほど、最終的な利益が多く、経営が健全であることを示します。
    • 粗利率は高くても、販売費や一般管理費などがかさんで純利益率が低い場合、コスト構造に問題がある可能性があります。

安全性を示す指標

安全性指標は、企業の財務的な安定性や支払い能力を示します。

流動比率 流動比率は、1年以内に現金化できる資産(流動資産)で、1年以内に返済すべき負債(流動負債)をどれだけカバーできるかを示す指標です。

  • 計算式: 流動資産 ÷ 流動負債 × 100
  • ポイント:
    • 200%以上が理想的な水準とされています。
    • この比率が高いほど、短期的な支払い能力が高く、財務的に安定していると判断されます。

当座比率

当座比率は、流動資産の中から、より換金性の高い資産(当座資産)のみを使って流動負債をどれだけカバーできるかを示す、より厳密な安全性指標です。流動資産に含まれる棚卸資産(在庫)は除外して計算します。

  • 計算式: 当座資産 ÷ 流動負債 × 100
  • ポイント:
    • 100%以上が目安とされます。
    • 在庫に依存しない支払い能力を見るため、流動比率よりも厳格な安全性判断に使われます。流動比率が高いのに当座比率が低い場合、過剰在庫のリスクがあるかもしれません。

現金収支を示す指標

純現金収支

純現金収支は、「フリーキャッシュフロー(Free Cash Flow)」とも呼ばれ、企業が本業で稼いだ現金(営業キャッシュフロー)から、事業を維持・拡大するための投資(投資キャッシュフロー)を差し引いた後に残る、自由に使えるお金です。

  • 計算式: 営業キャッシュフロー + 投資キャッシュフロー
  • ポイント:
    • この金額がプラスであるほど、事業活動によって手元にお金が残っている状態であり、健全な経営ができています。
    • 残ったお金は、借入金の返済や配当金の支払い、将来への再投資などに使われます。
    • 企業価値を評価する上でも非常に重要な指標です。
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