私たちの家庭で当たり前のように使われているIHクッキングヒーターや電子レンジ。どちらも「電気で加熱する調理器具」ですが、その仕組みは大きく異なります。また、「電磁波は体に悪いのでは?」と不安に感じる方も少なくありません。
この記事では、
- IHでお湯が沸く理由
- 電子レンジとの決定的な違い
- IHは人体に影響がないのか
を、専門知識がなくても理解できるように、やさしく解説します。
1. 電磁調理器(IH)でなぜお湯が沸くの?
結論
IHは鍋そのものを発熱させ、その熱で水を沸かしています。
火は一切使っていません。
仕組みを簡単に
- IH内部のコイルに交流電流が流れる
- コイルの周囲に変化する磁界(磁力)が発生
- 鉄や磁性ステンレスの鍋を置くと、鍋底に渦電流が発生
- 鍋の電気抵抗により鍋自身が発熱
- 鍋の熱が水に伝わり、お湯が沸騰
ポイントは、調理器本体ではなく鍋が熱くなることです。
IH対応鍋が必要な理由
IHでは磁力を利用するため、
- 鉄
- 磁性ステンレス
といった素材が必要です。アルミや銅、ガラス製の鍋は基本的に使えません。
2. IHと電子レンジの決定的な違い
同じ電気調理でも、IHと電子レンジはまったく別物です。
どこを温めているかの違い
- IH:鍋を温める → 鍋の熱で食材を加熱
- 電子レンジ:食材そのものを直接加熱
使っているエネルギー
| 項目 | IH | 電子レンジ |
|---|---|---|
| 主なエネルギー | 磁界(低周波) | マイクロ波(高周波) |
| 加熱される場所 | 鍋 | 食材内部 |
電子レンジの加熱原理
電子レンジはマイクロ波によって、
- 水分子
- 脂肪
- 糖分
を高速で振動させ、その摩擦で熱を生み出します。そのため、
- 中が熱いのに表面が冷たい
- 加熱ムラが出る
といった現象が起こります。
金属が使えない理由
電子レンジ内で金属を使うと、マイクロ波により火花(スパーク)が発生し、故障や発火の原因になります。IHとは正反対の特徴です。
3. IHは人体に影響しないの?
結論
通常の家庭使用において、IHが人体に悪影響を及ぼすという科学的根拠はありません。
IHが発生させるのは「低周波磁界」
- 放射線(X線・γ線)ではない
- DNAを傷つける性質はない
- 電子レンジのマイクロ波とも別物
なぜ安全と言えるのか
① 距離で急激に弱くなる
磁界は鍋の底で最も強く、30〜50cm離れると日常環境レベル以下になります。
② 人体は発熱しない
IHで強く反応するのは磁性金属のみ。人体はほぼ水分でできており、鍋のように発熱しません。
③ 国際安全基準を大きく下回る設計
IH調理器はICNIRPなどの国際基準に基づいて設計されています。
4. 注意が必要なケース
ペースメーカー使用者
- 理論的には磁界の影響を受ける可能性あり
- 30cm以上距離を保つことが推奨
- 主治医の指示を最優先
妊娠中・子ども
現時点で健康被害が増えるという証拠はありません。ただし、鍋に密着する姿勢を避けるなど、予防的配慮は有効です。
5. よくある誤解
- ❌「IHは電磁波が危険」
- ⭕「管理された低周波磁界を利用している」
- ❌「電磁波は体に蓄積する」
- ⭕「電磁界は蓄積しない」
まとめ
- IHは鍋を直接発熱させる調理器具
- 電子レンジは食材内部を直接加熱する
- 原理も安全性の考え方もまったく異なる
- IHは基準内で使用すれば人体への影響はほぼない
正しい仕組みを知ることで、不要な不安は減らせます。IHも電子レンジも、現代の科学に基づいて安全に設計された調理器具です。安心して上手に使い分けましょう。

